こんにちは、シミズです。
今回は、前職の塾業界について書きたいと思います。
よくブラックな業界と話題になる塾業界ですが、実際のところどうなのか。
アルバイト講師から教室長まで約9年間塾業界にいて感じたことをいいところと良くないところを書いていきたいと思います。
塾=ブラックではない
まずはじめに塾業界はブラックなのかということですが、決して一概にブラックとは言えないと思っています。
業務内容が特殊というか、かなり多岐に渡りかつ変則的なため、合わない人にとことん合わないためブラックだと誤解されることが多いんじゃなかと思います。
なので、ブラック業界ランキングの常に上位にいるからと、ただそれだけで塾を敬遠はしないでほしいと思います。
どんな仕事もそうですが、塾もしっかりその特徴を理解した上で、自分に合うか合わないかだけなので、人によっては天職になりうる素敵な仕事です。
良いところと悪いところをそれぞれ3つずつあげていきます。
【Good①】やりがいは半端じゃない!
塾での仕事の最大の魅力はそのやりがいの大きさだと思います。
生徒や保護者と直接向き合い問題解決の手助けをし、感謝の言葉を頂いたときのやりがいは半端じゃありません。
特に生徒と受験を乗り越えたときの達成感は格別です。
ときにはうまくいかないこともありますが、生徒ひとりひとりにドラマがあり、そんなドラマを毎年味わえるのが塾です。
塾に一番多く在籍する生徒は、中学3年生で受験のために通う子どもたちです。
そんな生徒と1年間向き合い、保護者とも連携し、ひとりの人間の人生の選択をサポートする仕事は、大変ですがその分とても大きなやりがいを感じることができます。
これから悪いことも3つあげていきますが、それも吹き飛ぶほど大きなやりがいのある仕事です。
【Good②】生徒とのつながりは一生モノ!
塾で出会う生徒との繋がりは、塾で働く上での最大の財産となります。
今から10年前大学1年の頃、自分が塾で働いてすぐに出会った生徒は、社会人になった今でも連絡を取り合ったり、時には飲みに行ってお互いの近況を報告し合ったりします。
いまだに自分のことを先生と呼んで慕ってくれるのは、とても嬉しいことです。
【Good③】これまでの経験が活かせる!
相手にする生徒の多くは、小学生や中学生なので、これまでの自分の勉強や生活の経験を元に指導に当たることができます。
特別な経験や技能は特に必要なく勉強や人間関係などで苦労した経験があればあるほど説得力のある指導ができますし、受験の経験もそのまま活かすことができるので、だれにでもチャンスがあると言えます。
ただ、入試の仕組みや傾向は毎年変化していくので、常に最新の情報を入手していく必要があります。
【Bad①】休日が少ない、休日出勤が多い
塾の仕事の悪いところで一番に上がるのが、休みの少なさです。
私がやっていた個別塾の教室長の仕事も同じくとにかく休みが少なかったです。
会社の仕組みとしては、週休2日、祝日休みとなっていましたが、実際の現場レベルだととてもじゃないですが、そんなに休んでいられないというのが現状でした。
日曜日と任意の1日を休みにするのですが、週1日取れれば良いほうで、平日の休みの方は出勤することが多かったです。
平日を休む場合、教室は開いているのでアルバイトの講師に任せることになります。
そうすると教室が連絡が何回か入り、結局出勤していたほうが楽だとなって出勤するようになったり、数時間だけ出て早めにあがったりと、純粋な休みというのは他の仕事に比べてかなり少ないんじゃないかなと思います。
特に、1月2月の受験直前期や4月7月の募集期(生徒がおおく入会する時期)には日曜日も出勤することも多くあります。
そのため休日をしっかり取りたいという人にとっては向かないかなと思います。
これが塾がブラックと言われる最大の原因ですが、過去のそういった流れを受け、改善に乗り出している塾も多くなってきています。
入社前にしっかり休日のシステムについては確認することをオススメします。
【Bad②】給料が安い(講師職の場合)
給料は他業種に比べて安かったり上がりにくかったりするところが多いようです。
私が勤めていた会社でも、給料が上がらないことを理由にやめていく人が多くいました。
塾の仕事は、教室の責任者として勤務する教室長職と子どもに直接勉強を教える講師職に分かれます。
正社員として募集が多いのは教室長職で講師の正社員募集はあまりありません。
特に個別指導塾で正社員の講師はかなり少ないです。
また講師職ではキャリアアップが難しいのが現状です。
大手の塾では教室長として結果をだし、本部の上の役職につくといったキャリアアップが考えられますが、私もそうでしたが塾で働く人の多くは、現場が好きでその仕事をやっている人が多いので、現場から本部職へのキャリアチェンジを希望する人は少ないように思います。
中には、現場職のまましっかりとしたキャリアアップのプランを用意している会社もあります。
【Bad③】勤務時間が変則的(夜が遅い)
勤務の時間は変則的で、たいていの塾は14時〜22時くらいのところが多いです。
小学生や幼稚園児を対象とした塾はもう少しはやいところもあります。
もちろん定時が22時なので、その後残業となればいつも帰りは終電間際になります。
食事の時間も不規則になりますので、こういった生活スタイルが合わない人にはかなり厳しかなと思います。
ただ、午前中の時間が丸々空くことが多いので、その時間を有効活用できればむしろ魅力的な勤務体系かもしれません。
また、朝が苦手な人には午後からの塾の仕事は向いているといえます。
ここからは、良い悪いというよりは、塾の仕事の現状について。
繁忙期は、春・夏・冬(1年中)
塾の繁忙期は、春夏冬の講習会がある季節と受験直前期です。
講習会では、どんな内容の講習会にするかの準備はもちろん、教室長となると講習会ごとに売上のノルマが課せられることもあるので、売上を立てることに奔走することになります。
特に春と夏は、1年でもっとも生徒が塾に入る時期なので、その時期にどれだけ生徒を獲得できるかで、1年間の塾の経営が決まると言っても過言ではありません。
3月4月6月はほとんど休みがなくなると思っておいていいと思います。
保護者対応がストレスになるかは人それぞれ
よく保護者対応がストレスになって塾の仕事をやめていく人がいます。
自分の場合は、保護者対応はさほどストレスは感じませんでした。
「成績が上がらない」とか「講師の態度が気に食わない」とお叱りをいただくこともしばしばありましたが、サービス業と割り切っていたのでそこでストレスを感じることはありませんでした。
毎月3万円を超える月謝を払っていて、成績が上がらなければ腹が立つ気持ちもわかりますしね。
むしろ不満をしっかり言ってもらえるということはありがたいことでもあります。
塾で一番怖いことは、生徒に塾をやめられてしまうことです。
不満を溜め込んでなんの前触れもなく、急に電話がかかってきてやめてしまうということもたくさんあります。
なので、しっかり不満に思ったことを言ってもらえるということは、改善することが明確になるので塾としてはとてもありがたいことです。
学校の先生で保護者との関係がうまくいかずやめてしまう方も少なくないと聞きます。
そういう方はサービス業と割り切りやすい塾の方が向いているかもしれません。
少子化はさほど影響せず
少子化が社会問題となって久しく昨今、子どもが減るので子ども相手の業界の未来は暗いと思われる方も多いんじゃないかと思います。
たしかに、予備校大手の代々木ゼミナールが大規模な校舎数削減を行ったのも記憶に新しいところです。
では塾業界はどうかというと、塾業界の市場規模は、ここ数年でさほど変化しておらず、むしろ微増傾向にあるくらいです。
理由としては、子どもの数が減る一方で、子ども一人あたりにかける教育費の費用は増加しているからです。
特に子ども一人ひとりに合わせて授業をしてくれる個別指導塾は授業料が高いにもかかわらず、年々市場規模が増加しています。
そのため子ども一人ひとりに合わせた質の高い教育サービスが求められていると言えます。
離職率が高いのは、会社の問題?価値観の問題?
塾業界の会社の離職率は高いことで有名です。
塾の仕事をやめる理由は、大きくわけて2つあると思っています。
1つ目は、給与や休日といった会社体質の問題です。
売上至上主義で無理な勤務を強いる塾もまだまだたくさんあるのが現状で、それに耐えかねてやめてしまう方も結構います。
2つ目は、教育的な価値観の不一致です。
教育に関わる仕事をする方の多くは独自の教育感を持っている方が多く、その価値観をとても大切にしています。
もちろん塾にも教育理念があり、その理念と自分が持っている価値観が合わずにやめていく方もいます。
逆にその部分が一致すれば、長く気持ちよく働くことができるでしょう。
独立して、自分の学習塾を立ち上げる方も少なくありません。
営業ノルマはある
塾の経営は民間の団体で、当然生徒(保護者)からいただく授業料で成り立っています。
そのため経営的な視点を持って毎月の売上も意識していかなければなりません。
私も講師から教室長になった際には生徒=お金というようなイメージがはじめは気持ち悪くて、慣れるまで時間がかかりました。
しかし、次第に塾の売上が伸びるということは自分がいいサービスを提供して、生徒や保護者に満足してもらえているからだとポジティブに捉えられるようになりました。
お金が絡むことなので、授業料の支払いが滞れば支払いの催促をしたり、時には授業を停止せざるを得ない場合もあります。
教育と経営をある程度割り切ることができるかが重要になってきます。
どうしてもそんなことできないという人は、学校の先生目指した方が良いでしょう。
また、塾によっては、現場の人間に経営的な数値を求めないところもあるので、その塾が何を求めているのかをしっかり確認するようにした方がいいと思います。
まとめ
以上自分が経験した塾での仕事のことをまとめてみました。少しでもこれから塾で働こうとする人の参考になればと思います。
私は今は塾とは別の事業をしていますが、いつかその事業が軌道に乗ったら今度は自分の塾を経営してみたいと思っています。
それくらい素敵な仕事だと思いますので、この記事を読んだ人が少しでも塾業界に興味を持ってもらえると嬉しいです。
それでは!